ASUSのクリエイター向けノートパソコン、Zenbook Pro 16X OLED(UX7602BZ)を自腹購入したので、レビューとしてファーストインプレッションを書いていきます。
そして修理から戻ってきたらゆっくり撮ればよいと思っていたので、肝心な部分の写真が無かったりします。そこは公式サイトで補っていただければと思います。
Zenbook Pro 16X OLED 特徴
最初にZenbook Pro 16X OLEDの特徴を簡単にご紹介します。
2022年モデルもあるのですが、UX7602BZは2023年モデルです。
このノートパソコンはクリエイター向けで最高峰の性能を誇ります。
搭載しているグラフィックボードはRTX4080 LAPTOPです。
NVIDIA社のノートパソコン向けGPUの中で専用メモリ(GRAM)を10GB以上積んでいるのはこれと、RTX4090 LAPTOPしかありません。
CPUは Intel Core i9-13905H でこちらもかなりの上位クラスです。
サイズは16インチで、かろうじて持ち運べるかなというサイズ感。
ここは正直14インチにとどめたかったですが、RTX4080 LAPTOP以上を積んだモデルはどのメーカーでも見つけられませんでした。
画面は3.2Kの有機EL(OLED)で色の再現性にとてもこだわっており綺麗です。タッチ操作にも対応しています。
販売価格は2023年は通常約60万円でセール時に50万ちょっとに下がるくらい。2024年に入ってからは50万円ほどとなっているようです。
私はAmazonのセールを利用して購入しました。
Zenbook Pro 16X OLED レビュー
それでは、以下開封数日での感想です。
最初は慣れなかった新しいキーボードとトラックパッドが手になじんできて、だいぶ使いやすくなってきました。
質感
重厚感があって質感はとても良かったです。
天板とキーボードは金属、他はプラスチックを使用しているのかなと思います(触ったときの温度などから予想しているだけなので、違ったらすみません)。
貼られているシール(ASUSあんしん保障、Intel,、NVDIA、製品説明)があまりにダサすぎるので、全部はがしました。
IntelとNVDIAのシールははがされることが想定されていないのか、かなりしっかり目にくっついていました。
ゆっっくりはがしていくと、粘着部分が本体に残りにくいです(画像はちょっと失敗して残っていますが拭き取ればきれいになりました)。
付属ソフト
McAfeeのソフトが2つ入っていたので、とりあえずそれらはアンインストールしておきました。
Officeのライセンスが付属しているのですが、以前のパソコンのアカウントと連携したら新しいライセンスを認証しなくても
使えるようになりました(謎)。
ディスプレイの開閉
本体の重さが十分にあるので片手で可能です。ただし、くぼみが小さい一方で比較的大きな力が必要なため、爪を使わないと片手で開けるのは難しいです。
結果として、片手で開けるのは難しいという印象になっています。
使い込んでいくと多少柔らかくなって、爪を使わずに開けられるようになるかもしれませんね。
キーボード
左右にスピーカーがついていますが16型なので幅は十分で打ちやすいです。
一番右の列がHomeやUp, Downボタンなどになっているので、Backspaceが右上と思っているとHomeボタンを押してしまうことがよくあります。
慣れれば問題なさそうではあります。
本当の右上は電源ボタンなのですが、サイズが小さく、かつ高さが低くなっているので間違えて押してしまうことはないでしょう。
剛性がしっかりしているので、浮き上がっているからといって軋んだりグラグラしたりというのは一切感じません。
ASUS Dial
ASUS Dialという物理コントローラーがついています。物理といいながら実際に回転するわけではなく指を滑らせる形になります。
対応したアプリの起動中にダイアルを回すといくつかの機能を呼び出すことができます。ランチャーに近いイメージかもしれません。
EdgeでYouTubeを見るときに5秒スキップに対応しているのは便利でした。
一方、普段使っているBraveは対応していないのでこれができず、対応しているアプリを多用する場合は便利ですが、そうでない場合は邪魔になる可能性があります。
というのは、タイピング中に左手の掌の膨らんでいる部分でダイヤルに触れてしまうことがあり、そうすると画面上に邪魔な表示が出てきてしまいます。
画面
本当にきれいで、有機ELディスプレイはLEDよりも黒が深いとよく言われますが、その通りでした。
起動直後の真っ暗な画面でもLEDのディスプレイ(Macbook PROなど)だとベゼルの黒色よりもぼわっと明るく見えるものですが、有機ELだとそれが無いのですよね。
画面焼けやドット抜けについて、一定以上の数がある場合は修理に応じてもらえる保証がついています。これはすごくよいと思います。画面への並々ならぬ情熱を感じました。
有機ELのデメリット
これは有機EL(OLDE)ならどのパソコンでも共通のデメリットですが、同じ表示を長時間続けると画面焼けのリスクがあります。
これを避けるためにスクリーンセイバーの設定をしたり、ツールバーが自動で隠れる設定にしたりと、(好みによりますが)操作性を犠牲にした設定が推奨されています。
ツールバーが自動で隠れる設定にすると、IMEがどっちになっているか分からなくなります。
英数字を入力するときには半角英数、日本語を入力するときは全角にしているのですが、これが現在どちらになっているのか分かりません。
時計も一緒に隠れてしまうというのも、地味に大きなデメリットだと感じました(もちろん、画面が最大限広く使えるというメリットもあるのですが)。
一応対策としては、トラックパッドの3本指タップでツールバーを表示させることができます(検索が開いてしまうのを閉じる手間が生じるので、IME設定の確認が目的なら1文字試しに入力した方がはやいかもしれないです)。
正直、私としては有機ELの色の美しさよりも使い勝手の面からmini LEDの方が好ましいと思うところではあります。
トラックパッド
大きくてつかいやすいです。
Windows11の機能だと思いますが、デスクトップを切り替えられる機能があります。
4本指のスワイプで切り替えることができるので、同時に見ることはできないとはいえサブディスプレイがあるような使い勝手となっています。
テンキーとして使える機能もついています。
私は普段ノートパソコンを使っているのもあってテンキーは使い慣れていないので、これは使い勝手が判断しにくかったです。
物理的なボタンではないので、素早く数字を入力する場面でうまく使えるのかは若干の疑問を覚えました。
携帯性
持った体感ではとても重たいです。ACアダプターに至っては、これだけで普通のタブレット1台持ち歩く以上の重量感があります。
持ち運ぶなら専用のカバンを一つ用意したい感じで、普段使っているリュックや手提げに追加で入れるという気持ちにはならないのが普通だと思います。
温度
キーボードは浮いているだけあって常にひんやりしています。
トラックパッドのある手前部分はだんだん温まってきて、ダイヤルがあるためか、左側の方が温度が高くなりやすいようです。
動画の書き出しなど重たい処理を行うと背面の通気口からはかなり温かい空気が出てきます。
ソフトウェアの動作
ベンチマークを取ったりはしていないのですが、動画編集ソフト(Davinci Resolve)で数十GBのサイズの動画を読み込んでみたりして動作速度の確認を行いました。
Surface Pro4との比較になってしまうので比べるべくもないという感じではありますが、Surface Pro4だとプレビューを再生することすらままならなかったのが、プレビューを音声が途切れることもなく普通に再生できたことには感動しました。
EvernoteやOfficeも普通に使えました(わざわざ触れたのは後々Evernoteが使えないパソコンに出会うからなのですが、それは別の機会にご紹介します)。
サウンド
Zenbook Pro 16X OLEDはサウンドについてもこだわっていることがホームページでうたわれています。
最大の特徴は6個のスピーカーから生み出される立体的な音響で、しっかりした3D音源で試してはいないものの、これは確かに立体的ではあったと思います。
こちらはメインのキーボード横のスピーカーです。
一方、そもそもの音質が少しこもった印象のある音で、あまり良い音ではないと思いました。せっかく立体的に聞こえたところで、音質がよくないと全体としてはいまいちな印象になってしまいます。
私は手元にiPhone 7 とiPhone SE3を持っているのですが、両者を比較するとiPhone 7 は耳垢が詰まったかのようなもやのかかった音なのに比べて(単純に古いので劣化している可能性もありますが)、SE3はクリアでディティールまでよく聞き取れる音が鳴ります。
Zenbook Pro 16X OLEDはiPhone 7の方に近い音質です。
普段M2チップのMacbook PROを使うことがあるのですが、そちらはSE3のようなクリアな音となっています。
なので、スピーカーから出るサウンドに関してはASUSはAppleに大きく水をあけられていると言ってもよいかもしれません。
端子
Zenbook Pro 16X OLEDは端子類も充実していて、特に良いと思うのはフルサイズのSDカードスロットを備えているところです。写真や動画の編集をする方は重宝するのではないでしょうか。
一つだけ不満があったのは有線LANポートがない点です。ゲーミングPCではなくクリエイター向けなので仕方ない面はありますが、この価格帯でゲームも十分できるスペックであることを考えるとついていてほしかったです。
触ってみて初めて分かった点として、電源ケーブルがUSB3.2ポートが隣り合っているので、向きによってはぶつかって邪魔になることがあります。
初期不良
キーボードの右ボタンが外れかかっていました。はめ直して使うことはできるのですが、フタを開閉するだけで外れてしまうくらいゆるかったです。
頻繁に使うキーなので使用に支障をきたすと思いました。
次に、大容量動画ファイルの読み込みと再生などを試しているうちに発生したのが、サウンドの停止時に「パンっパン」と破裂音が2回鳴る現象です。
一度発生したら、どんなサウンドを再生したときでも発生するようになりました。
発生前に再生した動画ファイルが雑音を多く含んでいるものだったので、スピーカーが壊れてしまった可能性も考えたのですが、初期化したら発生しなくなったことからそうではないのかなと思いました。
初期化後に、今度はサウンド再生時にサーというホワイトノイズが発生することに気が付きました。
そんなに大きい音ではないのですが音量に関わらず発生し、音量を小さくすればするほど相対的に目立ってきます。
特に気になるのが、スピーカーの音量をツールバーのアイコンから操作するとき、クリックして1秒後くらいにポーンという効果音が鳴りますよね。その1秒くらいの無音の時間にもホワイトノイズが聞こえることでした。
他のノートパソコンでそのような現象を経験したことはないものの、この製品では発生する仕様ということもあると思いました。なので、こちらはASUSに判断を仰ぐことにしました。
いずれにしても、キーボードの不具合の件があるので、パソコンを一度サポートセンターに送って確認していただくことになります。
詳しい経緯は別の記事にしたいと思います。
まとめ
ここまで、ASUSのノートパソコンZenbook Pro 16X OLED UX7602BZ の率直な感想をレビューしてきました。
限られた動作確認しかしていないものの、カタログスペック通り高パフォーマンスで動いてくれそうな雰囲気は感じました。
質感もとてもよく、所有欲を満たしてくれるデザインです。
60万円だと少々高すぎる感がありましたが、50万なら性能を考えると妥当な値段ではないかと思います。
キーボードにハード的な不備があった点、(上に書きませんでしたが)用意していただいた交換品でも再びハード面の不備があった点から品質が安定していない印象を受けました。
不具合か仕様かは分かりませんが、スピーカーからサウンドを再生時にホワイトノイズのような音が鳴る現象があり、こちらも交換品でも発生しました。これを許容できるかどうかは購入の一つの判断材料とすべきかもしれません。